オーダーシューズKiBERA(キビラ)の販売システムと店員さんのセールストークが手ごわかった話

妻が「ヒールのある靴履くと、足が前にズレて痛い」というので良い靴ないかと調べてみたら、KiBERA(キビラ)という9900円でセミオーダー(合皮だけど)靴作ってくれる面白い会社があると知りまして(有名らしい)。ユニクロシューズ立ち上げた方が社長だけあって値段も手ごろ(合皮だけど)だし、ダメもとで試してみるか?…ってことになり、横浜での用事済ませた後ショップに夫婦で寄り道したところ、そこはなかなか興味深い空間でした。

店員さんに声をかけると、まず「では足のサイズを計測しましょう」と別室に案内され、3D計測機なる足型スキャナーマシンに足を突っ込まされる。高級靴店のようなブランノックデバイスやメジャーなどのアナログデバイスの出番は一切なし。採寸はマシンが自動で行う。で、待つこと数分、アッという間に採寸完了。近未来的!なんかスゴイことになりそう!

…と感動してたら、出てきたデータはA4用紙に印刷された足長・足囲・甲高ぐらい。「あれ?」っと拍子抜けするとともに「こんなデータでちゃんとオーダーできるんか?」と疑問がわいてくる。で、話をよ~く聞いていると

トラップ①

どうやらKiBERAで展開する靴のサイズ(足長21.5~26cmまでを5mmピッチ。足幅S/M/L)の中からピシャリのモノを選ぶために最低限必要な計測をした…というコトらしい。

…。
「3D計測機」なんていうから、スキャンされた足の3D画像がオンラインで靴工場に送られてハイテクマシンと連動して…なんて過剰な期待をしてしまいました。そうですよね、9900円の【セミ】オーダーですもんね。忘れてたわ。

さて肝心の妻の足。日本人標準より幅がかなり狭く甲がかなり低く左足が6mm大きい…という予想外のデータがはじき出される。ああ、なんと不経済な足。だって日本のメーカーの既成靴買おうとするとさ、長さで合わせりゃ幅緩くて前にずれる。幅で合わせりゃ指先きつくて外反母趾まっしぐら。そもそも左右がワンサイズ違うから、どちらかの足は絶対フィットしない…って事でしょ。

…。
そんな衝撃の事実を突き付けられテンション下がっていると、店員さんから愛のこもったフォーローが入る。なんでも、
●左右の足の大きさが5mm以上(つまり1サイズ以上)違う人が結構多いこと
●なので最近KiBERAでは左右別サイズでのオーダーが可能になったこと
●なのでお客様の悩みも解決ですね
…とかなんとか。素敵。さすがオーダーさすがKiBERA。下がったテンション急上昇。でもここで

トラップ②

「でも、左右違うサイズの人は1万4900円になっちゃうんですね」。

…。
絶望で下がり切ったテンションに希望投げかけ興奮させてからの価格1.5倍増し(しかし合皮)宣言。「なんですと!」となりつつ、でも絶望の後に希望を見せられた今だから「なら要らない」なんて言えず、いい感じに転がされながら買い物続行。試してみたかったヒールのある靴の試着へと流されていく。

で、7cmヒール(KiBERAのスタンダードらしい)の中から採寸通り幅が一番狭い【S】で左が5mm大きいものを出してもらって試すと、一発目からサイズピシャリ。妻は「ぜんぜんズレない。ヒールが無い靴履いてるみたい」などとご機嫌。これで妻が靴の苦痛から解放されるってんなら、買うしかないでしょ…なんてさっきの価格1.5倍事件もう忘れてる。そんなこんなでフィッティング一瞬(…ではないが)で終了。KiBERA靴専用3D計測恐るべし。

よし、あとは色決め。「試しの一足めだし、色はフォーマルでも行ける黒でOKだよね」という流れから店員さんのひとこと

トラップ③

「こちらの色もおススメなんですよ」。この言葉きっかけでいろんな色のサンプルシューズが出てくるわ出てくるわ。「どのお色でもお作り出来ます」って、恐るべしオーダーシューズ。

とゆーワケで、フィッティングは一発で決まったのに色決めに長時間かかるという不思議を経験し、どーゆーワケか当初の予定以外の色を買うことに決定。すると、すかさず店員さん「では黒はいかがなさいますか」と一発ブッ込んでくる。恐るべし店員のお姉さん。もちろんこっちは「9900円靴をお試し購入気分で来てるのに、いきなり1万4900円になった上に2足も買えるか!」という気分なんだけど、それも見透かされたのか次は「ヒールの無いバレーシューズならズレる心配がないので左右同サイズの9900円でオーダーできますよ」ってたたみかけてくる。

…。
ああ、なんて天才的なセールストーク。勉強になります。

トラップ④

そんな店内縦横に張り巡らされた課金トラップくぐり抜け、やっとレジまでたどり着くとそこには靴のドレスアップ用アクセサリーのゴージャスなディスプレイ。しかも価格は1000~3000円くらいとお手頃。「これ、危ないヤツだ」と身構えた瞬間、店員さんが「一つ持っていると靴の雰囲気ガラッと変えられるので、2足持ってるみたいですよね」と、3足買わされそうなところ1足で我慢したメンタルに突き刺さるキーワードを打ち込んでくる。果てしない攻撃は続く。

トラップ⑤

でも、これをかわせば流石に会計できるだろ…と思ったら、ラストトラップがレジ前に鎮座。「お客様は足が前にズレやすいとのことでしたので、この中敷きをつま先に入れていただくとフィット感が数段アップしますよ」と、なにやら耐震ゲルのような透明の中敷き500円を勧められる。ああ、もうわかりましたよ。「じゃあ、一つ下さい」。

そんなわけで

KiBERAはシステムも店員さんも手練れです。気を引き締めていかないと良い感じの雰囲気に流されて、支払9900円のつもりがあれよあれよと4万円オーバーなんてことも。ご注意を。